はじめての取材は、
有機野菜を使ったランチがいただけるカフェや、
韓国スタイルの焼肉店、そして地元直送素材を使った沖縄料理店。
事前に聞くべきポイントをまとめ、
取材のときには一言も聞き漏らすまいと必死でメモをとり、
帰宅してから原稿作成。
何もかもが手探りでした。
もっといろいろな情報を書き込みたい。
でも、文字数に限りがある。
そもそも、特集の趣旨に合わない内容は、
今回の原稿に組み込む必要はない、
何もかも書けば、どっちつかずの原稿になってしまう……。
悩みながら、迷いながら、
そして、心の底から「楽しい!」と思いながら、
今では考えられないほどの時間をかけて書き上げた原稿。
幸い編集部での受けもよく、
それからというもの、毎月お仕事をいただけるように。
気づけば、雑誌だけではなく、別冊本や小冊子、Webなど、
媒体の幅が広がりました。
ジャンルも、食だけではなく、住まいやブライダル、美容など、
さまざまなものに広がりました。
ライターになってからというもの、
多くの取材を通じて、さまざまな方々と出会う日々。
飲食店のシェフやパティシエ、
そして、企業経営者さまや広報ご担当者さま……。
料理への愛情や商品への思い入れ、企業理念など、
それぞれに語ってくださる「思い」に心揺さぶられてきました。
その「思い」をいかに伝えるか?
内容だけでなく、その温度やゆらぎなども含めて伝えるには?
洪水のように、ただ情報を羅列するだけではだめ。
私が熱しすぎて書いてもだめ。
一体どうしたら???どんな文章を書いたらいい?
試行錯誤を繰り返す中で、たどり着いた答え。
それは、
すっと読める。
それでいて、心に残る。
このことこそが、大切だということだったのです。
―すっと読める。
そのためには、言葉のリズムや勢い、適切な文章構成が大切です。
―心に残る。
そのためには、短くとも適切で個性的な表現や、
何よりも伝えるべきものを深く理解していることが大切です。
ライターとして自分ができること、すべきこと。
それは、「言葉の力」を借りながら、
すっと読めて、心に残る文章を書くこと。
そして、具体的に書くこと、あくまで客観的に書くこと。
この二つも大切。
具体性に欠けると、個性のない文章に、
客観性に欠けると、ひとりよがりで「伝わらない」文章になってしまうからです。 |